①分布等：本州、四国、九州 の山地に自生する常緑高木。雌雄同株。日本固有種。幹は直立するが、ねじれが入ることが多い。高さ20～35mになる。樹皮は黒褐色で、縦に薄くやや繊維状に剥がれる。 ②分類：針葉樹-鱗状葉（図39）。 ③葉は鱗状で交互に対生する十字対生。葉は、厚質で大きく、長さ 5～6mm。表裏の葉は舌形または菱形で先端は円い。左右の葉は舟形で上部は枝から斜めに離れる。 ④葉の表面は濃緑色で光沢があり腺点がある。裏面は淡緑色で大きい粉白色の気孔帯が目立つ。枝は羽状に互生し枝全体として扁平である。 ⑤花期は4～5月。雌雄同株。雌雄球花とも枝先につけ、雄球花は青緑色で小さな卵状楕円形、雌球花は淡紅緑色で偏球形。果実は球果。直径1～1.5ｃｍの球形で、翌年の10～11月に淡褐色に熟す。種燐は長さ0.6～1ｃｍの広卵形で、やや反り返り角状に突き出る。 ⑥類似種：「ヒノキ」に似ているが、ヒノキは葉先が尖らないこと、白色の気孔帯がＹ字型をしている点で区別する。詳細は「類似種の見分け方」参照。 ⑦名前の由来：アスナロ属の木は、古い時代は「アテ（貴）」あるいは「アテヒ（貴檜）」と呼ばれていたが、その後、アテヒから「アスヒ（阿須檜）」となり「アスナロ」に転化したという説がある。ヒノキに似ていることから、「明日はヒノキになろう」となり、「アスナロ」に転化したというのは俗説とされている。

葉表	葉裏
葉表拡大	葉裏拡大
近影	全影
幹