①分布等：本州（東北南部から紀伊半島）、四国、九州 の山地に自生する常緑針葉高木。日本固有種。日本のトウヒ属では最も南まで分布する。幹は直立し、枝はほぼ水平に開出し、高さ20～30ｍになる。樹皮は灰褐色～灰黒色で、古くなると薄く剥がれ落ちる。 ②分類：針葉樹-針状・線状・広線状葉-互生-螺旋状かかまぼこ型に付く-葉先が尖る（図37）。 ③葉は長枝に螺旋状に互生する。長さ 1.5～2.5ｃｍ、幅 0.2～0.25ｃｍの針形で、先端は湾曲して鋭く尖り、触るときわめて痛い。日本のトウヒ属では葉が最も太い。 ④葉は太くて硬く濃緑色で無毛。葉の断面は菱形で、4面に白色の気孔帯がある。葉枕は黄褐色で枝に対してほぼ直角にでる。若い枝は黄褐色で無毛、２年枝は灰青色に変わる。 ⑤花期は5～6月。雌雄同株。雄球花は紅紫色～紅黄色の長楕円形。雌球花は、淡緑色または淡紫色で、枝の先端部につく。種子は球果に包まれる。球果は、長さ7～12ｃｍ、直径3～5ｃｍの卵状楕円形で枝の先端部に下垂してつき、10月に光沢のある褐色に熟す。 ⑥類似種：「ヒメバラモミ」に似るが、ヒメバラモミは、葉身の長さが0.6～1.3ｃｍと短く、球果は細長い点で区別できる。 ⑦名前由来：葉の先端が針のように尖っていることから。別名のバラモミは、「バラ」が棘のある植物の総称であることから。

葉表	葉裏
葉表拡大	葉裏拡大
若い球果	近影
全影	幹