ハッサク(ミカン科ミカン属)
①分布等:暖地で果樹として栽培。日本原産の常緑低木。高さ2~5mになる。ブンタンと他の柑橘類の交配種とされ、1860年ごろ、広島県尾道市因島田熊町浄土寺の境内に偶発実生として発見された。1886年(明治18年)に「ハッサク」と命名され、因島を中心に栽培が進んだ。現在の主産地は和歌山県で全国生産量の約70%を産する。
②分類:広葉樹(直立性)-単葉-不分裂葉-互生-きょ歯あり-単きょ歯-側脈は葉縁に達しないか不明瞭-きょ歯は葉身の全体にある-常緑性(図30)
③葉は互生し、葉身は 長さ6~15cm、幅 3~7cm の披針状長楕円形。葉柄は1~2cm。葉先は鈍く尖りやや凹むが、凹まないものも混じる。基部は楔形。葉縁は低い波状のきょ歯がある。主脈は両面に隆起し、側脈は裏面のみ隆起する。
④葉はやや厚い革質。表面は濃緑色、裏面は黄味を帯びた淡緑色で無数の小さい油点(陽にかざし拡大すると見える)がある。両面とも無毛。葉柄には幅 0.1~0.3cmの狭い逆三角形状または線状の翼がある。若い枝は緑色で稜があり、棘はほとんど無い
⑤花期は5~6月。枝先または葉腋から、総状花序をだし、6~8個の花を付ける。花は直径約5cmの白色の5弁花で、花弁はへら状で厚く、反り返って開く。中央に大きな柱頭をもつ雌しべがあり、その周りに多数の雄しべが円筒状にとりまく。果実はミカン状果。直径8~12cmの大型の扁球形で、9月ごろ黄色に熟すが、通常は12月~翌年の2月ごろ収穫し、1~2か月間熟成させ、酸味を落ち着かせたのち4~5月に出荷する。バランスのよい甘みと酸味、そしてほのかな苦味が特徴で、近年、酸味を抑え、 甘みを強調した品種が増えてきているなか、いまなお根強い人気がある。
⑥名前の由来:八朔(陰暦の8月1日)の頃から食べられたからと伝えられている。
葉表 葉裏
葉表拡大 葉表拡大2
葉裏拡大 葉柄の翼
近影
全影  
 
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