①分布等:本州(長野・岐阜・愛知県)、九州(長崎県対馬)の山地に自生する落葉高木。雌雄異株。幹は直立し、多く分岐し、高さ5~30mになる。
②分類:広葉樹(直立性)-単葉-不分裂葉-対生-きょ歯なし-落葉性(図15)。
    広葉樹(直立性)-単葉-不分裂葉-対生-きょ歯あり-落葉性-側脈は葉縁に達しないー下面に星状毛なし(図19)。
③葉はやや十字対生気味に対生し、葉身は 長さ 4~10cm、幅 2~5cmの長楕円形。葉柄は 1.5~3cm。葉先は円いか鈍く尖り、基部は広い楔形で、葉柄に流れる葉縁は全縁であるが、若い木では細きょ歯または重きょ歯が出る(図19)。
④葉は洋紙質。表面は緑色、裏面は灰緑色で、両面とも葉脈上に毛が密生する。葉柄は上面に溝があり短毛が密生する。若い枝は灰褐色で短毛がある。
⑤花期は5月。雌雄異株。新枝の先に集散花序を円錐状にだし、白い花を多数つける。花冠は4つに深く裂け、裂片は長さ1.5~2cmの線状倒披針形で、白糸を束ねたようになる。満開時には、全体に雪が降り積もったように見える。果実は核果。長さ約1cmの楕円形で、9月に柴黒色から黒色に熟す。
⑥類似種:<アメリカヒトツバタゴ>は、北米東部原産で、葉身の長さが12~15cmと大きい。
⑦名前の由来:「一葉タゴ」の意。「タゴ」はトネリコのことで、トネリコが複葉であるに対し、本種は単葉なのでこの名がついた。別名の「ナンジャモンジャ」とは「何じょう物じゃ(なんというものか)」の意味で、特定の樹種名ではなく、見慣れない正体不明の怪木や珍木に対して地元の人々が付けた愛称である。ヒトツバタゴを指すことが多いが、地域によってはクスノキ、ボダイジュ、タブノキなどを指す場合もある。なお、この名前の由来については面白いエピソードがある。水戸黄門(徳川光圀)が、時の将軍に「あの木は何という木か」とたずねられ、その返事に窮してとっさに「なんじゃもんじゃ!」であると答えたという。
葉表 葉裏
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若い実 近影
遠景
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