イボタノキ(モクセイ科イボタノキ属)
①分布等:北海道、本州、四国、九州、沖縄 の山地に自生する落葉低木。幹はよく分岐し、高さ2~4mになる。樹皮は灰白色~灰褐色で、円い皮目がある。
②分類:広葉樹(直立性)-単葉-不分裂葉-対生-きょ歯なし-落葉性(図15)。
③葉は対生し、葉身は 長さ 2~7cm、幅 0.7~2cmの長楕円形。葉柄は0.1~0.2cmと短い全縁で、先端は円く尖り、基部は広い楔形~楔形。側脈は4~5対。
④質は薄く、表面は緑色で無毛。裏面は灰緑色で、主脈上に毛があるものからないものまである。主脈は表面で凹み裏面に隆起する。葉柄・若い枝には短毛が密に生え、短枝が発達する。幹には所々に刺がある。
⑤花期は5~6月。枝先に長さ2~4cmの総状花序をだし、白い花を多数つける。花冠は、長さ0.7~0.9cmで筒状で先端は4裂する。果実は核果。長さ0.6~0.7cmの広楕円状球形で、10~12月に光沢のある紫黒色に熟す。
⑥類似種:「ミヤマイボタ」、「コミノネズミモチ」、「ヤナギイボタ」に似るが、見分け方は「類似種の見分け方」参照。葉や萼に全く毛がないものを<セッツイボタ>、葉裏全体に毛が多いものを<ビロードイボタ>という。<サイゴクイボタ>は、本州の兵庫県以西、四国、九州に自生し、葉はミヤマイボタに似た菱形状であるが、先端は鋭く尖り、ミヤマイボタより小形である。<オオバイボタ>は、葉が、葉身の長さ4~10cm、幅2~5cmと大きく、質も厚く、一見、ネズミモチに似ているが、側脈が明瞭で日にかざすと透けて見える。葉の形は変異が多く、楕円形、卵形、倒卵形など、先端も円いものから尖るものまでいろいろあり、本州、四国、九州に分布する。
⑦名前の由来:樹皮に白いイボタロウ虫が寄生することから。イボタロウムシが分泌する白い蝋を「いぼた蝋」といい、イボ取りや止血・強壮などの薬用、家具の艶出しや戸の滑りを良くするためなどに用いる。
葉表 葉裏
葉裏拡大
近影
全影
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