イヌビワ(別名:イタビ) (クワ科イチジク属)
①分布等:本州(関東以西)、四国、九州、沖縄 の暖地の山地や丘陵に自生する落葉小高木。雌雄異株。高さ2~6mになる。樹皮は灰白色~灰褐色で平滑、皮目が縦に並ぶ。
②分類:広葉樹(直立性)-単葉-不分裂葉-互生-きょ歯なし-下面は毛がない-側脈は明瞭-落葉性(図24)。
③葉は互生し、葉身は 長さ 8~20cm、幅 3~8cmの卵状楕円形。葉柄は1~4cm。全縁で、先端は急に鋭く尖り、基部はま円いか浅い心臓形。
④質はやや薄い。表面は濃緑色で光沢があり、多少ざらつく裏面は灰白緑色で、両面とも無毛。葉や小枝の切り口から乳液が出る。若い枝には短毛がある。葉柄のつけ根に枝を取り巻く輪(托葉痕)がある。
⑤花期は4~5月。雌雄異株。雌雄の花嚢は同じ形で、長さ0.8~1cmの球形。果実は複合果(イチジク状果)。雌果嚢は直径約2cmの球形で、11月に黒紫色に熟し、生食できる。雄果嚢は、かたくて食べられない。
⑥類似種:<ホソバイヌビワ>は、葉が細長く、葉身が長さ8~18cm、幅 1.5~3cmである。<ケイヌビワ>は、若い枝や葉、葉柄、実の表面に軟毛が密生するもので、淡路島・小豆島や琉球諸島に分布する。<ハマイヌビワ>は、常緑の小高木で高さ3~7mにになり、奄美大島以南の琉球列島に自生する。雌雄異株で花嚢は同形であるが、熟したときは雄株では黄色、雌株では赤色となる。
⑦名前の由来:果実がビワに似ているが、味が劣ることから。
葉表 葉裏
枝(葉柄の付け根に托葉痕がみえる) 花嚢
雌花嚢(断面) 雌果嚢
近影 近影2
全影
ハマイヌビワ ハマイヌビワ(果嚢)
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