イヌガヤ(イチイ科イヌガヤ属)
①分布等:本州(岩手県以南)、四国、九州 の山地に生育する常緑小高木。雌雄異株。幹は直立し、樹さ5~8mになる。樹皮は暗褐色で、縦に浅く裂け、短冊状に剥げる。
②分類:針葉樹-針状・線状・広線状葉-互生-左右2列に葉が着く-葉先が尖る(図35)。
③葉は、縦枝では螺旋状に互生し、横枝では葉元がねじれて水平に並び2列互生となる。長さ 3~5cm、幅 0.3~0.4cm の扁平な線形。
質は柔らかく先端は急に細く尖っているが、握っても痛くない表面は暗緑色で光沢があり、裏面は灰白色の2本の気孔帯がある。若い枝は緑色。
⑤花期は3~4月。雌雄異株。雄花は前年枝の葉腋に6~10個球形に集まってつく。雌花は前年枝の先端部につける。種子は種子果。長さ2~3cmの卵形で、はじめ緑色から、翌年の9~10月に紫紅色に熟す。外種皮は肉質で甘みがある。
⑥類似種:「カヤ」に似るが、カヤは葉先が硬いため握ると痛く、裏面の気孔帯が淡黄色なので区別できる。「イチイ」にも似るが、イチイは葉の長さが1.2~2.5cmとイヌガヤより短く、気孔帯が淡黄色なので区別できる。幅がカヤより広いいことで区別できる。詳細は「類似種の見分け方」参照。<チョウセンマキ>は、本種の変種から作られた園芸品種で、高さ2~3mの低木。幹から枝が真上に出る狭長な樹形をなし、葉は長さ2~7cmで扁平な線形で、母種と異なり、長短の葉がらせん状に互生する。葉がイヌマキやラカンマキに似ているのでマキと名付けられているが、これらとは関係はなく、また、「チョウセン~」と冠するのは、韓国原産と誤認されたもので、日本固有の園芸品種である。本州(関東以西)、四国、九州などで、庭木や生花材料として植栽されている。
⑦名前由来:カヤに似ているが、それほど有用でないのでこの名がついた。
葉表 葉裏
葉裏拡大 雄花序
若い種子 近影
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