イヌゴシュユ(ミカン科ゴシュユ属) (別名:シュユ、ビービーツリー)
①分布等:各地で薬用や、蜜源用として植栽。中國北部から満州・朝鮮に原産する落葉小高木。江戸時代に薬用植物として渡来し、各地に広まった。また、夏期の蜜源植物として重用。高さ5~10mになる。樹皮は暗灰色で平滑、円い皮目がある。
②分類:広葉樹(直立性)-複葉-1回羽状複葉-対生(図6)。
③葉は長さ15~35cm奇数羽状複葉で対生する。小葉は2~5対あり、側小葉は、長さ5~15cm、幅 3~6cmの卵形楕円形~長円形。小葉柄は0.2~0.5cm。先端は急に短く突き出して尖り、基部は円形または広い楔形。小葉の縁は小さく低いきょ歯があり、きょ歯の間に半透明の腺点がある。葉や枝を折ると悪臭がある。
④小葉は紙質で薄く、表面は深緑色で無毛。裏面は淡緑色で、葉腋に毛の塊がある。葉軸と小葉柄は細毛が密生する。若い枝はやや太く、淡褐紫色で、細毛が密生し、大型の白い皮目が目立つ
⑤花期は5~8月。雌雄異株。枝の先端または葉腋から、長さ15~25cmの集散花序をだし、緑白色の小さな5弁花を多数つける。果実は蒴果。長さ約0.8cmの扁球形で、9~12月に先端に花柱を残し緑青色に熟す。
⑥類似種:同属の<ゴシュユ>に似ているが、ゴシュユは、中国中南部~ヒマラヤ原産で、本種同様に薬用・蜜源として重用されており、小葉が全縁であり、芳香があるので容易に区別できる。
⑦名前の由来:「イヌゴシュユ」は、芳香があるゴシュユに比し、悪臭があるなど、なにか劣るところがあることによる。「シュユ」は漢名の「茱萸」を音読みしたもの。「ビービーツリー」は養蜂業界の通称で、夏期の貴重な蜜源であるため、花期には絶え間なくミツバチが飛来し、その羽音をビービーと聞いたことによる。
小葉表 小葉裏
小葉表拡大 小葉表拡大2
小葉裏拡大
雄花 雄花序
近影 全影
inserted by FC2 system