カボスキシュウミカン(ミカン科ミカン属)
①分布等:果樹として暖地で栽培。原産地はヒマラヤ地方であるが、大分県原産という説もある常緑小高木。高さ3~5mになる。江戸時代に宗源という医者が京都から大分県臼杵市に苗木を持ち帰ったのが栽培の始まりとされ、かつて樹齢300年と言われた古木があった。大分県以外ではこのような古木は確認されていないので、原産地は大分県とする説となったようだ。我が国のカボス生産量の98%が大分県産で、のこりは、愛媛、福岡、宮崎、などの生産である。多くの品種があるが、大分県産の85%は「大分1号」という品種で、本解説はこれを使用している。
②分類:広葉樹(直立性)-単葉-不分裂葉-互生-きょ歯あり-単きょ歯-側脈は葉縁に達しないか不明瞭-
             きょ歯は葉身の全体にある-常緑性(図30)

③葉は互生し、葉身は 長さ 4~8cm、幅 3~6cm の楕円形。葉柄は1~2cm。葉先は鈍く尖りわずかに凹むが、凹まない葉も混じる。基部は円形。葉縁は低い波状のきょ歯がある。主脈は両面に隆起し、側脈は裏面隆起はない。
④葉は革質でやや厚く、表面は濃緑色、裏面は黄味を帯びた淡緑色で無数の小さい油点(陽にかざし拡大すると見える)がある。両面とも無毛。葉柄には幅1~2cmの広い逆三角形状の翼がある。若い枝は緑色で稜があり断面は三角形、葉腋から長さ0.7cmほどの棘がところどころにでる。
⑤花期は5月。葉腋から総状花序をだし、白い5弁花を6~7個つける。果実はミカン状果。直径6~7cmの球形で、8月ごろから実が緑色のうちに収穫されるが、熟すと黄色になる。果頂部に雌しべの落ちた跡のドーナツ型にの盛り上がリがあり、果梗部に数条の溝がるのが特徴。果肉は黄白色で、多汁であり酸味が強く、果汁を搾って食用とする。
⑥類似種に、緑色のまま出荷される「スダチ」があるが、スダチはゴルフボール程度の大きさで、重さ40~50g、カボスはテニスボール程度の大きさで、重さも100~150gあり、果頂部にドーナツ型にの盛り上がりがある点で区別できる。主産地もスダチは徳島県が9割以上、カボスは大分県が9割以上を占め、生産地も全く異なる。
⑦名前の由来:名前の由来は明確ではない。
葉表 葉裏
葉表拡大 葉表拡大2
葉裏拡大 先端が凹まない葉
葉柄の翼
若い実
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