カンツバキ(ツバキ科ツバキ属))
①分布等:各地で庭木などとして植栽。常緑低木。中国原産の園芸品種とサザンカとヤブツバキを交配した交配種群とがあり、いずれもカンツバキで流通しているようである。一般には、矮小な横広がりで傘形の樹形になり、枝葉はよく茂り、高さ1~2mになる。ただし、園芸品種の中には、高さは3m以上になる木立性の品種もあり<タチカンツバキ>とい。
②分類:広葉樹(直立性)-単葉-不分裂葉-互生-きょ歯あり-単きょ歯-側脈は葉縁に達しないか不明瞭-きょ歯は葉身の全体にある-常緑性(図30)
③葉は互生し、葉身は 長さ  4~8cm、幅 2.5~4cmの長楕円形~卵状楕円形。葉柄は0.5~1cm。
先端は鈍く尖り、少し窪むことが多い。基部は広い楔形。縁には鈍いきょ歯があり、葉縁が裏側に反り返る。側脈はやや不明瞭。
④葉は革質で厚く、表面は暗緑色で光沢があり、裏面は淡緑色。両面とも無毛か、裏面主脈上にすこし毛がある。若い枝は淡褐色で無毛
⑤花期は12~3月。枝先に直径5~7cmの花を多数つける。花は、一般的には淡い紅色の八重咲きが多いが、赤や白、桃色のものもあり、品種により変異が大きい。花には仄かな香りがある。花弁は通常は14枚以上で、しわにならない。雄しべは多数あり離生して筒状とはならず、散るときは花弁がバラバラになって落ちる。果実は蒴果。直径約1cmの球形で、軟毛に密に覆われ、9月に熟す。
⑥類似種:「ヤブツバキ」と「サザンカ」によく似ているが、次により見分ける。
ヤブツバキは葉が大きく、革質で硬く分厚く、上面は強い光沢があり、両面とも無毛、花は一度に落ちるのに対し、 サザンカと本種は、葉が小ぶりで、全体がやや反り返る、葉の先端が小さく窪むことが多い、花びらが一枚づつ落ちる点で見分けることができる。なお、実がある場合は、サザンカと本種の実は軟毛でおおわれているのに対し、ヤブツバキの実は無毛であることで見分けることができる。
サザンカと本種の見分け方は、むつかしいが、本種の方が、やや葉の厚みがあり、葉の色が本種は暗緑色に対し、サザンカは深緑色であること、若い枝が本種は無毛に対し、サザンカは有毛である点で見分けることができる。花の時期であれば、本種の花弁は14枚以上であるが、サザンカは通常5枚であることで見分ける。詳しくは「類似種の見分け方」参照。
⑦名前の由来:冬の寒い季節に花が咲くことから。
葉表 葉裏
葉表拡大 葉表拡大2
葉裏拡大
近影
全影
園芸種の花(フジノミネ) 園芸種の花(ヒオトメ)
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