カラタチバナ(サクラソウ科ヤブコウジ属)
①分布等:本州(茨城県・新潟県以西)、四国、九州、沖縄 の山地に自生する常緑小低木。幹は褐色で分岐せす直立し、高さ0.2~0.7mになる。
②分類:広葉樹(直立性)-単葉-不分裂葉-互生-きょ歯あり-単きょ歯-側脈は葉縁に達しないか不明瞭-きょ歯は葉身の全体にある-常緑性(図30)
③葉は互生し、葉身は 長さ  8~20cm、幅 1.5~4cm の狭卵形~長楕円形。葉柄は0.8~1cm。側脈は8対。先端は次第に細くなり鋭く尖る。基部は狭いくさび形。葉縁には不明瞭な波状の浅いきょ歯がある。きょ歯の間には円い隆起(「内腺点」 という)があり、空気中の窒素を固定する葉粒菌が共生しているとされる。
④葉はやや厚く、表面は鮮緑色でしっとりした光沢があり、裏面は淡緑色で、両面とも無毛。側脈は乱れた曲線を描いて伸び、表面で凹み裏面に隆起する葉柄には上面にくぼんだ溝がある。
花期は7~8月。葉腋から散形状の花序をだし、白い花を10数個付ける。花序の柄は長さ4~7cmで斜上する。花は直径約0.8cm。花冠は5深裂し、裂片は反り返る。雄しべは5個、雌しべは1個。果実は核果。直径0.6~0.7cmの球形で、11月ごろ赤く熟し、翼4月ごろまで残る。
⑥類似種:果実が白く熟す<シロミタチバナ>、黄色に熟す<キミタチバナ>などの園芸品種がある。
⑦前の由来:花がカラタチの花に似ていることからきたという説がある。江戸時代は「マンリョウ(万両)」に対して「百両金」とも呼ばれた。参考:一両(アリドウシ)、十両(ヤブコウジ)、百両金(カラタチバナ)、千両(センリョウ)、万両(マンリョウ)、億両(ミヤマシキミ)。
本種は、旧分類では「ヤブコウジ科」とされていた。
葉表 葉裏
葉表拡大(内腺点) 葉裏拡大(内腺点)
葉表拡大(葉柄) 葉裏拡大(側脈)
実2(果柄が長い) 実3
近影 シロミタチバナ(実)
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