①分布等:暖地に果樹として栽培。原産地はインドのアッサム地方とかポルトガルとか諸説がある常緑小高木。高さ8~10mになる。オレンジ類はスイートオレンジ、サワーオレンジ、マンダリンオレンジに大別され、通常、単にオレンジというと、流通量の多いネーブルオレンジかバレンシアオレンジを指すことが多い。本解説はバレンシアオレンジを使用した。
②分類:広葉樹(直立性)-単葉-不分裂葉-互生-きょ歯あり-単きょ歯-側脈は葉縁に達しないか不明瞭-
             きょ歯は葉身の全体にある-常緑性(図30)

③葉は互生し、葉身は 長さ7~15cm、幅 3~8cm の披針状楕円形。葉柄は1~2cm。葉先は鈍く尖りわずかに凹。基部は広い楔形~円形。葉縁には低い波状のきょ歯がある。主脈は両面に隆起し、側脈は裏面のみに隆起する。
④葉は革質でやや厚く、表面は濃緑色、裏面は黄味を帯びた淡緑色で無数の小さい油点(陽にかざし拡大すると見える)がある。両面とも無毛。葉柄には幅 0.1~1cmの逆三角形状または線状の狭い翼がある。若い枝は緑色で稜があり、断面は三角形、葉腋から小さい棘が出るが、出ないものもある。
⑤花期は5月。枝先または葉腋に1個の花をつける。花は白色の5弁花で、花弁はへら状で厚い。果実はミカン状果。直径約6cm、高さ約7cmの楕円体で、6~7月に黄色に熟す。外皮は橙色で粗く、果肉は橙黄色で柔らかく多汁、酸味はやや強いが糖度も高く、香気があって風味は極上である。
⑥名前由来:不詳。別名のオレンジは英語の「orange」をそのまま使った。バレンシアオレンジは、19世紀末に大西洋のアゾレス島からフロリダを経てカリフォルニアに伝わり、これをスペイン人が見て自国のバレンシア地方に植えられているオレンジに似ているとして命名されたという。
⑦バレンシアオレンジは、世界で最も多く植えられている晩成オレンジの代表格で、我が国を除く主要な生産国では本種が多く植栽されている。商品名「サンキスト」のオレンジは本種である。
葉表 葉裏
葉表拡大 葉表拡大2
葉裏拡大 葉柄の翼
 
 
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