ナツミカン(ミカン科ミカン属)
①分布等:暖地で果樹として栽培。日本の在来種の常緑低木。江戸時代中期に黒潮に乗って山口県長門市に漂着した種子から育てたものとされており、主に山口県で栽培されている。高さ3~5mになり、多数の品種がある。
②分類:広葉樹(直立性)-単葉-不分裂葉-互生-きょ歯あり-単きょ歯-側脈は葉縁に達しないか不明瞭-
             きょ歯は葉身の全体にある-常緑性(図30)

③葉は互生し、葉身は 長さ9~11cm、幅 4~7cm の披針状楕円形。葉柄は1~1.5cm。葉先は鈍く尖りやや凹むが、凹まない葉も混じる。基部は広い楔形。葉縁は低い波状のきょ歯がある。主脈は両面に隆起し、側脈は裏面のみ隆起する。
④葉は革質でやや厚く、表面は濃緑色で無数の油点がある。裏面は黄味を帯びた淡緑色で油点は濃い緑色の点として見える。両面とも無毛。葉柄には狭い逆三角形状の翼がある。若い枝は緑色で稜があり、葉腋から小さい棘がでるが、出ないものもある。
⑤花期は5~6月。枝先または葉腋に1個付けるが、時に総状花序をだし6~7個の花を付ける。花は直径約3cmの白色の5弁花で、花弁はへら状で厚く、舟形に内側に巻く。雄しべは約30本。果実はミカン状果。直径約11cmの扁球形で、晩秋に黄色に熟し、翌年の春~夏に収穫する。(熟すのは晩秋であるが、春先までは酸味が強くて生食できなかった。明治時代に初夏になると酸味が減じることが分かり、以降、夏に味わえる貴重な柑橘類として広く栽培されるようになった。)
外皮は厚くて凸凹が多く、果肉は酸味が強い。
⑥類似種:<アマナツミカン>(甘夏蜜柑)は、昭和初期に大分県で本種の枝替わり種として発見され、ナツミカンに比べて酸味が抜けるのが早く糖度が高いことから、山口県以外では「アマナツ」への切り替えが進んでいる。このため、現在ではナツミカンといえばアマナツミカンを指すことが多い。
⑦名前の由来:「夏蜜柑」の意で、秋に熟すが、翌年の春から夏に生食できるため。
葉表 葉裏
葉表拡大 葉表拡大2
葉裏拡大 葉裏の油点
先端が凹まない葉 葉柄の翼
近影
近影 全影
アマナツミカンの花  
 
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