ネズミモチ(別名:タマツバキ) (モクセイ科イボタノキ属)
①分布等:本州(関東地方以西)、四国、九州、沖縄 の山地に自生する常緑低木。幹は直立し、よく分岐し、高さ2~5mになる。樹皮は暗灰色で、皮目が多い。
②分類:広葉樹(直立性)-単葉-不分裂葉-対生-きょ歯なし-常緑性(図14)。
③葉は対生し、葉身は 長さ 4~8cm、幅 2~5cmの卵状楕円形。葉柄は0.5~1.2cm。側脈は5~6対。枝の先端に単葉がなく、一見、偶数羽状複葉のように見えるのが特徴。先端は狭まり鈍く尖り、基部は楔形。全縁。
④葉は厚い革質。表面は濃緑色で光沢があり、裏面は淡黄緑色で、全面に濃緑の細点があり、基部付近には数個の腺点がある。両面とも無毛でのっぺりした質感があり、光にかざしても側脈は透けない。葉柄は無毛でしばしば紫褐色を帯びる。若い枝は紫褐色で無毛、白い粒状の皮目がまばらにある
⑤花期は6月。枝の先端に長さ5~12cmの複総状花序を円錐状にだし、白色の小さい花を多数つける。花冠は長さ0.5~0.6cmの筒状ロート形で4中裂し、裂片は平開する。雄しべは2個で、雄しべと花柱は花筒から少し突き出る。果実は核果状。長さ0.8~1.2cmの長楕円形で、10~12月に黒紫色に熟す。
⑥類似種:「トウネズミモチ」に似るが、トウネズミモチは葉が一回り大きく、葉先がネズミモチより尖っていること。葉の最も幅の広い部分が、ネズミモチは中央辺りであるが、トウネズミモチは中央より基部側にある点、また、日に透かしてみると、トウネズミモチは葉脈が透けて見えるが、ネズミモチは透けない点などで区別できる。詳細は「類似種の見分け方」参照。 <モクレイシ(フクボク)>は、本州(千葉県、神奈川県)、九州、沖縄 の沿海部に自生する常緑低木~小高木で、葉が長さ4~8cm、幅2~4cmの楕円形~卵形で対生する点で本種によく似ているが、ニシキギ科モクレイシ属に属し、分類上は本種と全く異なる。①花期は3~4月、②花は5弁花、③果実は蒴果(青く熟し、2つに裂開して赤い種子を出す)などの点で、本種と区別できる。
⑦名前の由来:楕円形の黒い果実が鼠の糞のような形で、葉がモチノキに似ることから。別名の「タマツバキ」は不明。
葉表 葉裏
葉表拡大 葉裏拡大
枝(粒状の皮目)
若い実
近影 近影2
全影  幹
モクレイシ:葉 モクレイシ:若い実
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