①分布等:北海道、本州、四国、九州、沖縄 の山地に自生するつる性落葉樹。巻きひげで他の植物に巻き付いて伸びる。巻きひげは、葉と対生して節ごとにでる(ノブドウ属の特徴)。 ②分類:広葉樹(つる類)-単葉-互生-きょ歯あり(図4)。 ③葉は互生し、葉身は、長さ8~11cm、幅5~9cm の五角形~円形。葉柄は 3~6cm。葉縁は3~5裂するが、その切れ込みの深さには変化が多く、切れ込みのない不分裂葉もある。葉の先端は、鋭く尖り、基部は浅い心臓形で、基部から5本の掌状脈が出る。各裂片の縁には粗く浅い鋸歯がある。 ④葉の表面は緑色で、葉脈上に粗い毛がある。裏面は淡緑色で葉脈上に粗い毛があり、脈腋には水掻きのような膜がある。葉を透かして見ると、透明な小体が散生している。若い枝は淡褐色で、はじめ粗い毛があるが、のち無毛。節はふくらんで冬芽を包む(隠芽という)。葉の切れ込みが、特に深くて独特の形をしているものを「キレハノブドウ」という。 ⑤花期は7~8月。当年枝の葉と対生して集散花序をだし、淡黄緑色で直径0.3~0.5cmの小さい花を多数つける。花弁と雄しべは各は5個、雌しべは1個。果実は液果。直径0.6~0.8cmの球形で、9~10月に青、紫、淡緑白色など多様な色に色づく。この色づく実はブドウタマバエやブドウトガリバチの幼虫が寄生した「虫えい」によるものとする説があるが、虫はみつからないことが多い。「実の切断調査結果」図は15個の実を切断し上からの画像と切断面の画像を上下に並べて比較したものであるが、虫は見つからなかった。 ⑥類似種:ブドウ属の「シラガブドウ」に似るが、見分け方は「類似種の見分け方」参照。 <テリハノブドウ>は、本種の海岸型で、葉に光沢があり、ほとんど無毛。葉の縁には粗いきょ歯があり、本州南部から四国、九州、沖縄の海岸部に主として分布する。 ⑦名前の由来:野にあるブドウの意。 |
葉表 | 葉裏 | |
葉表拡大 | 葉表拡大2 | |
葉裏拡大 | 枝 | |
若い実 | 実 | |
実2 | 近影 | |
不分裂葉 | 切れこみの深い葉と蕾 | |
実の切断調査結果 | キレハノブドウの葉 | |
テリハノブドウ(葉) | ||