サンザシ(バラ科サンザシ属)
①分布等:庭木、薬用樹として稀に植栽。中国原産の落葉低木。幹は根元からよく分岐して株立ちし、高さ1~3mになる。樹皮は紫灰褐色で薄くはがれる。
②分類:広葉樹(直立性)-単葉-分裂葉-互生-きょ歯あり(図12)。
③葉は長枝に互生し、短枝に束生する。葉身は 長さ 2~7cm、幅 2.5~7cmの広倒卵形。掌状に3~5裂する。葉柄は 長さ 2~3.5cm。先端は鋭く尖り、基部は楔形でやや葉柄に流れる。裂片の縁は欠刻状の鋭い重きょ歯がある。長枝の葉はきょ歯のある托葉があり目立ち、小枝の先は棘となる。多くの園芸種があり、目立つ托葉や棘のないものもある。
④葉は薄い草質。表面は深緑色で、少し毛があるか無毛。裏面は淡白緑色で、裏面の葉脈沿いに軟毛が多い若い枝は灰白色で、のち、紫灰褐色となり、縦長の皮目が点在する
⑤花期は4~5月。短枝の先に白色の花を2~6個、散房花序に付ける。花は直径1.5~2cmで、花弁と萼片は5個。雄しべは20個、花柱は4~5個。花は独特の爽快な甘い香りがある。果実はナシ状果。直径1.5~2cmの扁球形で、9~10月に頂部に萼片を残し赤く熟す。
⑥類似種:<セイヨウサンザシ>は、ヨーロッパ、北アメリカ、西アジアで普通にみられるサンザシで、日本には明治中期にはいり、庭園樹、公園樹として広く植栽されている。葉は本種より小さく、棘が大きいのが特徴で。花は白~ピンク。<クロミサンザシ>は、北海道、長野県に稀に自生する落葉小高木で、果実は8~9月に黒く熟す。<アカバナサンザシ>は、花が八重の濃いピンク色の園芸品種。「ヤブサンザシ」と本種は、名前は似ているが近縁種ではなく、本種がバラ科サンザシ属であるに対し、ヤブサンザシはスグリ科スグリ属で、花も全く異なる。
⑦名前の由来:漢名は山樝(さんざ)で、これを音読して和名を「山査子(サンザシ)」としたという。
葉表 葉裏
葉表拡大 葉表拡大2
葉裏拡大 葉裏拡大2
近影(短枝の葉)
近影2 全影
 
 
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