テンダイウヤク(別名:ウヤク) (クスノキ科クロモジ属)
①分布等:薬用植物として栽培。九州、近畿地方など暖地では野生化。中國原産の常緑低木。日本には江戸時代に前半に薬用植物として渡来。幹は叢生し、高さ2~5mになる。樹皮は緑褐色で縦の皮目がある。
②分類:広葉樹(直立性)-単葉-不分裂葉-互生-きょ歯なし-下面に毛がある-常緑性(図20)。
③葉は互生し、葉身は 長さ4~8cm、幅2.5~4cm の広楕円形。葉柄は 0.4~1cm。葉先は尾状に突き出て鋭く尖り、基部は広い楔形~円形。葉縁は全縁で、基部からでる3行脈が目立つ
④葉はやや薄い革質で、表面は深緑色で光沢があり、裏面は粉白色。はじめ両面に淡黄褐色の軟毛があるが、のち裏面葉脈上に残る。葉柄は暗褐色で淡褐色の毛が密生する。本年枝は淡緑色で淡褐色の軟毛を密生する。
⑤花期は3~4月。雌雄異株。葉腋から散形花序をだし、淡黄色の花を数個つける。雄花は雌花よりやや大きい。花被片は楕円形で6個あり、雄花は長さ約0.25cmで、雄しべが9個、退化した雌しべが1個。雌花は長さ約0.2cmで、退化した雄しべが9個、雌しべが1個あり、柱頭は楯状に著しく広がり斜めに傾く。果実は液果。長さ0.7~0.8cmの楕円形で、初め緑色から赤褐色をへて、10~11月に黒色に熟す。
⑥和名の由来:「天台烏薬」の意。「天台」は中国南部の浙江省の天台地方で良い品質のものがとれるため。「烏薬」は、根が烏の頭に似ているから、あるいは、実が烏のように黒いからという。伝説に“秦の始皇帝(前259~前210)から不老長寿の霊薬を探すよう命じられた「徐福」が探しあてたものが、熊野新宮の天台烏薬でした”と云う話がある。
⑦根に含まれるボルネオール等の成分に整腸作用があり、漢方製剤に使われる。
葉表 葉裏
葉表拡大 葉表拡大2
葉裏拡大 葉裏拡大2
雄花序
雌花序 近影
近影2 全影
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