①分布等：北海道、本州、四国、九州 の山地に自生する落葉低木。高さ1～4mになる。 ②分類：広葉樹（直立性）-単葉-不分裂葉-対生-きょ歯あり-落葉性-側脈は葉縁に達しない-下面に星状毛なし（図19）。 ③葉は対生し、葉身は 長さ 3～10cm、幅 2～5cmの卵形～長楕円形。葉柄は短く 0.3～0.5cm。葉先はやや尾状に伸びて鋭く尖り、基部は円形または広い楔形。葉縁はしばしば波を打ち細かくて鈍いきょ歯がある。 ④質はやや薄く、葉の表面は緑色、裏面は淡緑色で、両面とも無毛。若い枝は丸く、はじめ緑色で平滑、楕円形の皮目が目立つ。 ⑤花期は5～6月。当年枝の葉腋から集散花序を下垂し、4～6ｃｍの長い花柄をもつ花を多数つける。花は緑白色～淡紫色で直径約0.8ｃｍ、淡緑色の花盤が発達し、花弁、雄しべ、萼片は各5個。雌しべは1個。果実は蒴果。直径1～1.2ｃｍの球形で、9～10月に紅色に熟すと、５裂し、赤橙色の仮種皮をもつ種子を５個露出する。 ⑥類似種：「ニシキギ」、「コマユミ」、「マユミ」に似るが、見分け方は「類似種の見分け方」参照。 本種に似て暗紫色の花をつけるものがあり ＜クロツリバナ（ムラサキツリバナ）＞といい、北海道～本州中部地方の亜高山帯に自生する。葉にシワがが目立ち、果実には３翼があり熟すと３裂する。＜オオツリバナ＞は、葉が大型で、果実には4～５個の鋭い稜があり角ばる。＜ヒロハノツリバナ＞は、オオツリバナに似るが、果実には顕著な４稜がある。本種とオオツリバナ、ヒロハツリバナは果実のないときは区別が難しい。 ⑦名前の由来：花や果実が長い花柄の先に垂れ下がるので「吊花」と名づけた。

葉表	葉裏
葉表拡大	葉裏拡大
若い枝	花序
花	果序
実	裂開した実
近影	近影２
オオツリバナ（若い実）	ヒロハノツリバナ（若い実）