ヤブムラサキ(シソ科ムラサキシキブ属)
①分布等:本州(宮城県以西)、四国、九州 の山地に自生する落葉低木。幹は根元から分岐し、斜上して、高さ2~3mになる。
②分類:広葉樹(直立性)-単葉-不分裂葉-対生-きょ歯あり-落葉性-側脈は葉縁に達しない-下面に星状毛あり(図18)。
③葉は対生し、葉身は、長さ 6~13cm、幅 2.5~6cmの長楕円状披針形~長楕円形。葉柄は0.5~1cm。先端は尾状に伸びて鋭く尖り、基部は円形または広い楔形。葉縁はやや不整な細きょ歯がある。葉脈は7~10対。
④葉は薄い膜質。表面は濃緑色で短毛が密生。裏面は灰緑色で白色の星状毛が密生し、腺点が点在する。触るとビロードの触感がある。葉柄と枝にも星状毛が密生する。
⑤花期は6~7月。葉腋から短い集散花序をだし、紅紫色の花を2~10個つける。花冠は長さ0.4~0.5cmで、上部は4裂し平開する。雄しべは4個、雌しべは1個で、ともに花冠から突き出る。萼には星状毛が密生する。蕾は星状毛と軟毛におおわれる。果実は核果。直径0.3~0.4cmの球形で、10~11月に紫色に熟し、下部は星状毛が密生した萼に包まれる。
⑥類似種:同属の「ムラサキシキブ」、「コムラサキ」に似るが、ムラサキシキブとは葉や枝に毛がない点で、コムラサキとは葉の大きさが小さいこと、きょ歯が先半分しかない点で区別できる。詳細は「類似種の見分け方」参照。<ビロードムラサキ(オニヤブムラサキ)>は、一見して、本種より大型。葉身が長さ15~25cm、幅4~10cmとムラサキシキブ属で最大の大きさ、幹や枝も太く、葉裏や葉柄、若い枝に淡褐色の星状毛や羽毛が密生し、果実は白色に熟すのが特徴。
⑦名前由来:ムラサキシキブに似ていて葉や枝に毛が多いことから「藪」がついたという説、ムラサキシキブより花の姿が劣るので「藪」がついたという説、花も実も葉の裏に隠れて目立たないからという説、などの諸説がある。
本種は、旧分類では「クマツヅラ科」とされていた
葉表 葉裏
葉表拡大 葉表拡大2
葉裏拡大
蕾(星状毛と軟毛におおわれる)
近影
近影2 全影 
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