フユイチゴ(別名:カンイチゴ) (バラ科キイチゴ属)
①分布等:本州(関東地方南部・新潟県以西)、四国、九州 の山地に自生するつる性の常緑小低木。幹は直立または斜上するほか、つるを伸ばして地面を這い、高さ20~30cmになる。
②分類:広葉樹(つる類)-単葉-互生-きょ歯あり(図4)。
③葉は互生し、葉身は長さ・幅とも5~10cmの卵形または広卵形。浅く3~5裂する。葉柄は4~9cm。先端は円いか鈍く尖り、基部は心臓形。葉縁には三角形の細かいきょ歯があり、きょ歯の先端は小さな芒になる。
④葉は洋紙質。表面は緑色で短毛が散生してざらつき、新葉の表面は深緑色で光沢がある。裏面は淡緑色で、全面に褐色の短毛が密生し、脈上には開出毛が多く、小さな棘が散生する。葉柄は褐色の短毛が密生し、小さな棘が散生する托葉は早落性、長さ1~1.5cmの披針形で羽状に細かく裂け、毛がある。枝は短毛が密生し、長毛が混じり、小さい棘がある。
⑤花期は9~10月。枝先や葉腋から短い円錐花序をだし、直径0.7~1cmの白い花を5~10個横向きにつける。萼片と花弁は各5個でほぼ同じ長さ。萼片は外面に淡褐色の短毛が密生し、先端が鋭く尖るのが特徴。雄しべは多数あり、花糸は白色。雌しべも多数あり、花柱は白くで雄しべよりはるかに長く突き出す。果実は核果が多数集まった集合果(キイチゴ状果)。直径約1cmの球形で、11~翌1月に赤く熟し、生食できる。
⑥類似種:本種と「コバノフユイチゴ」、「ミヤマフユイチゴ」は、ともにバラ科キイチゴ属に属し、つる性の常緑小低木という点でよく似ているが、見分け方は「キイチゴ属の検索表」および「類似種の見分け方」を参照。
⑦名前の由来:「フユイチゴ」、「カンイチゴ」とも、冬に実が熟することから。
葉表 葉裏
葉表拡大 葉表拡大2
葉裏拡大 託葉
近影 近影2
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