①分布等:本州(関東以西)、四国、九州、沖縄 で植栽。台湾、中国南部原産の暖地性の落葉小高木。高さ5~7mになる。樹皮は紫褐色で、横に並ぶ皮目が目立つ。
②分類:広葉樹(直立性)-単葉-不分裂葉-互生-重きょ歯-側脈は葉縁に達しない(図26)。
③葉は互生し、葉身は 長さ 8~13cm、幅 2~5cm の長楕円形~楕円形。葉柄は 0.8~1cm。先端は短く尾状に伸びて尖り、基部は心臓形~円形。葉縁には細かく鋭い単きょ歯に重きょ歯が少し混じり、きょ歯の先端は葉先方向にやや伏せる。葉脈は8~9対。
④表面は濃緑色で光沢があり、裏面は緑色で、両面とも無毛。葉柄は、紅紫色を帯びることが多く無毛で、上端に1~2個の蜜腺がある。若い枝は無毛。
⑤花期は1~3月。葉の展開前に、濃紅色の鐘形の花を2~3個下向きにつける。直径は約.2cmで花弁は5個。雄しべは34~37個。満開時でも花弁が半開きであることが特徴。果実は核果。長さ1.2~1.5cmの卵球形で、5~6月に黒紫色に熟す。
⑥類似種:蜜腺が葉柄上部にでき、葉の両面・葉柄に毛がないことで、「オオシマザクラ」、「オオヤマザクラ」、「ヤマザクラ」に似るが、見分け方は「サクラ類の検索表」および「類似種の見分け方」参照。
* <オカメザクラ>は、本種とマメザクラを、イギリスの桜研究家が交配してつくった園芸品種。淡い紅色の一重咲で、花が下を向いて咲くのが特徴。早咲きで花期は2月下旬から3月上旬ごろ。名前は日本の女性「おかめ」に由来する。
*<オオカンザクラ>は、本種とオオシマザクラの交雑種とされ、薄紅色の一重咲きで、花がやや下向きにつき、完全に開かないのが特徴。ソメイヨシノより少し早く咲く。
⑦名前の由来:「寒緋桜」の意で、寒冷な時期に緋色の花を咲かせることから。別名は「緋寒桜」の意で、こちらはヒガンザクラ(彼岸桜)と混合されやすいため、カンヒザクラ(寒緋桜)と呼ばれることが多い。
葉表 葉裏
葉表拡大 葉表拡大2
葉裏拡大
近影 全影(人工樹形)
オカメザクラの花 オオカンザクラの花
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