①分布等:日本各地で街路樹・公園樹として広く植栽。スズカケノキとアメリカスズカケノキの交配種。イギリスで作られた交配種で、明治時代に渡来した落葉高木。雌雄同種。普通、高さ15~20mになるが、大きいものは35mに達する。樹皮は大きく薄く剥がれて、灰白色と暗褐色に淡緑色が混ざるきれいなまだら模様となる。 ②分類:広葉樹(直立性)-単葉-分裂葉-互生-きょ歯あり(図12)。 ③葉は互生で、掌状に浅く 3裂~5裂(通常は5裂)する。切れ込みは葉身の1/2程度。葉身は長さ 6~20cm、幅 7~22cmの広卵形。葉柄は 3~8cm。裂片の縁には不揃いの粗いきょ歯がある。先端は鋭く尖り、基部は楔形~浅い心臓形。基部の少し上から3主脈が出る。 ④葉の表面は鮮緑色で光沢があり、裏面はやや黄色味がかった緑色。両面ともはじめ灰白色の星状毛が密生するが、しだいに落ち、裏面の脈腋以外は無毛となる。 托葉は膜質で筒状、縁にはきょ歯がある。若い枝は灰白色で、はじめ星状毛が密生するが、のち無毛。小さな皮目が多数ある。 ⑤花期は4~5月。花序の軸に球形の花序が2~3個付く。雄花序は直径約1cmで、長さ2cmほどの柄がある。やや黄色を帯びる。花粉をだしおえた雄しべは順次脱落する。雌花序は直径約1.5cmで、長さ10~15cmの柄があり、赤味を帯びる。果実は痩果が多数が集まった複合果。直径約4cmの球形で黄褐色に熟す。普通、2個(稀に1個または3個)が縦に連なるか、枝分かれしてぶら下がる。 ⑥類似種:同属に「スズカケノキ」、「アメリカスズカケノキ」があり、本種と合わせて3種を葉のみで見分けるのはかなり難しいが、スズカケノキと本種は通常5裂、アメリカスズカケノキは通常3裂する点、果実の数が、通常、アメリカスズカケノキは1個だけが垂れ下がり、本種は2個(稀に1個または3個)が連なるか枝分かれして垂れ下がるに対し、スズカケノキは3~5個が串団子状に縦に並んでつく点で区別できる。詳細は「類似種の見分け方」参照。 ⑦名前の由来:「スズカケノキ」は垂れ下がった球状の実が、山伏の着る篠懸衣(すずかけころも)についている玉飾りに似ていることからつけられた。「モミジバ」や「カエデバ」は、葉がモミジのように分裂していることから。「プラタナス」は、ギリシア語の「広い」という意味の「platys」に由来し、スズカケノキ属の「スズカケノキ」、「アメリカスズカケノキ」と本種の3種の総称として使われる場合が多いが、一般的には、街路樹として最も多く使用されている本種を「プラタナス」という。 |
葉表 | 葉裏 | |
葉表拡大 | 葉表拡大2 | |
葉裏拡大 | 枝 | |
雄花序(雄しべが脱落中) | 雌花序 | |
雌花序2 | 実 | |
果序(通常、2個が縦に連なる) | 果序2 | |
近影 | 全影(神代植物園) | |
幹 | ||