ノグルミ(別名:ノブノキ) (クルミ科ノグルミ属)
①分布等:本州(関東以西)、四国、九州 の山地の日当たりのよい林縁などに自生する落葉高木。雌雄同株。幹は直立し、高さ5~15mになる。樹皮は灰色~灰褐色で、縦に長い裂け目が入る。
②分類:広葉樹(直立性)-複葉-1回羽状複葉-互生-きょ歯あり(図8)。
③葉は長さ 20cm~30mの奇数羽状複葉で互生する。小葉は5~7対。側小葉は、長さ 5~12cm、幅 1.5~4cmの披針形で、最大幅は基部寄り小葉柄はほとんどない。小葉の先端は細く伸びて鋭く尖り、基部は円形または切形で、左右不同縁には細かいきょ歯がある。小葉の先端部分は鎌状にカーブする場合が多い。
④表面は濃緑色で粗毛が散生する。裏面は黄緑色で、脈上や脈腋に短毛が多く、肉眼では見えにくいが全面に帯黄色の油点が散在する。葉柄や葉軸には褐色の軟毛がある。若い枝は褐色の軟毛が密生するが、のち無毛。2年枝には小さい楕円形の皮目が目立つ
⑤花期は5月。新枝の先に穂状花序を数個直立につける。中央に長さ約2cmの1個の雌花序があり、その周りを長さ4~10cmの数個の雄花序が取り囲む。雌花序の上にも雄花序がつくが、脱落しやすい。果実は堅果が集まった果穂。果穂は長さ2~3cmの円筒状楕円形。写真は果穂が開き堅果が落ちた後の果穂。
⑥類似種:「オニグルミ」や「サワグルミ」に似るが、オニグルミは、葉が50~70cmと大きく、小葉の基部が向かい合う対の小葉の基部と重なる、葉裏に褐色の毛が密生してザラザラする、葉軸にやや粘る毛があるなどで区別できる。サワグルミは長楕円形で幅の最も広い個所が葉先に近いのに対し、ノグルミは披針形で幅の最も広い個所が基部に近いことで区別できる。詳細は「類似種の見分け方」参照。
⑦名前の由来:「野ぐるみ」の意で、クルミに似ていて野山に自生するから。「ノブノキ」は、漁網の染色防腐用のタンニンの原料として樹皮や根皮を利用していたため、「ノシブノキ(野渋の木)」となり、それが省略される形で「ノブノキ」となったという説がある。
小葉表 小葉裏
小葉表拡大 小葉裏拡大
花序(中央に雌花序、周りに雄花序) 若い果穂
開いた果穂
近影 全影
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