ウルシ(ウルシ科ウルシ属)
①分布等:漆採集のため各地に植栽。中国・インド原産の落葉高木。雌雄異株。数本の幹を叢生し、高さ7~10mになる。樹皮は灰褐色で、縦に浅く裂け、鱗片状に剥がれる。
②分類:広葉樹(直立性)-複葉-1回羽状複葉-互生-きょ歯なし(図7)。
③葉は長さ 25~40cmの奇数羽状複葉(稀に偶数羽状複葉)で枝先に集まって互生する。小葉は4~7対。
側小葉は、葉身の長さ6~12cm、幅 4~7cmの卵状長楕円形または楕円形。側脈は7~12対。小葉柄は0.3~0.5cm。小葉の先端は短く尖り、基部は円形または広い楔形で左右不揃い。葉縁は全縁。
④葉はやや厚く、小葉の表面は濃緑色で光沢があり無毛裏面は淡緑色で脈上に軟毛が密生する。小葉柄と葉軸は赤味を帯びることが多く、軟毛が密生する。若い枝には軟毛が密生するが、のち無毛。円形または楕円形のこぶ状の皮目が目立つ。
⑤花期は5~6月。雌雄異株。当年枝の葉腋から長さ20~30cmの総状花序または円錐花をだし、黄緑色の小さい花を多数つける。萼片と花弁は各5個。花弁は長さ約0.25cmの楕円形で大きく反り返る。果実は核果。直径0.6~0.8cmの扁平な球形で、8~9月に淡黄色に熟す。表面は滑らかで無毛、光沢がある。
⑥類似種:全縁の小葉をもつウルシ属には、「ハゼノキ」、「ヤマハゼ」、「ヤマウルシ」があり、よく似ているが、見分け方は「ウルシ属の検索表」および「類似種の見分け方」参照。
⑦名前の由来:「うるしる(潤液)」または「ぬるしる(塗汁)」から転化したとされている。
⑧ウルシかぶれ:本種をはじめ、近縁種はアレルギー性接触性皮膚炎(いわゆる「ウルシかぶれ」)を起こしやすい。これは、本種に含まれるウルシオールによるもので、人によっては、近くを通っただけでもかぶれを起こすので、注意が必要である。
葉表 小葉表
葉軸 若い実
近影 全影
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