ハマナス(別名:ハマナシ) (バラ科バラ属)
①分布等:北海道、本州(太平洋側は茨城県まで、日本海側は島根県まで)の海岸砂地に自生する落葉低木。日本に自生する原種バラの1種。1779年にオランダの医師シーボルトによりヨーロッパに渡り、耐寒性や耐病性が強く荒地にも生育するので、ハイブリッド・ルゴサ系統と言われる多数の園芸品種の親となっている。幹は叢生し、枝は太くてよく分岐し、高さ1~1.5mになる。地下茎を伸ばして増え、しばしば大群落をつくる。
②分類:広葉樹(直立性)-複葉-1回羽状複葉-互生-きょ歯あり(図8)。
③葉は長さ9~11cmの奇数羽状複葉で互生する。小葉は3~4対。小葉身は 長さ 2~3cm、幅 1.5~2.5cmの卵状楕円形~楕円形。小葉柄は0.1~0.2cm。小葉の先端は円く、基部は円形または広い楔形。葉縁には鈍いきょ歯があり、やや裏面に反る。葉脈は表面で凹み裏面に隆起し、表面のシワが目立つ。
④小葉は肉厚で、表面は濃緑色で少し光沢があり無毛。裏面は緑白色で、全面に短い軟毛が密生し腺毛が混じる。若い枝は淡緑色で軟毛と腺毛が密生し、扁平な棘と小さい針のような棘が混生する。棘にも軟毛が密生する。 
⑤花期は6~8月。枝先に直径5~8cmの紅色または紅紫色の花を1~3個つける。果実はツボ状に肥大した花托の内面に多数の痩果がつく集合果(バラ状果)。直径2~3cmの偏球形で8~9月に赤橙色に熟す。花が白色のものがあり、<シロバナハマナス>という。
⑥名前の由来:果実を梨にたとえた「浜梨(ハマナシ)」が転化したとする説と、文字通り「浜辺のナス」で「ハマナス」になったとする などの説がある。
⑦熟した果実は美味で、生食やジャム、果実酒にする。
⑧原種バラについては「ノイバラ」を参照。
小葉表 小葉裏
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シロバナハマナスの花
近影
全影  
 
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