①分布等:北海道、本州、四国、九州 の山地に自生する落葉低木。日本に自生する原種バラの1種。バラの世界に「房咲き性(1つの花茎に数輪の花が房状に咲く性質)」を与え、また、バラの接ぎ木の台木とし重要な役割を果たしている原種である。幹は半直立で、枝はよく分岐し、高さ1~2mになる。枝には鉤形の棘があり、伸びた枝はツル状となって他のものに寄りかかって這い上がることもある。樹皮ははじめ明緑色で、のち褐色を帯びる。 ②分類:広葉樹(直立性)-複葉-1回羽状複葉-互生-きょ歯あり(図8)。 ③葉は長さ6~14cmの奇数羽状複葉で互生する。葉柄は約1.5cm。小葉は3~4対。頂小葉は側小葉より少し大きく、最も下の側小葉が最も小さい。側小葉は長さ 2~5cmの卵形~長楕円形。先端は短く尖り、基部は鈍形または円形。葉縁には鋭いきょ歯がある。 ④小葉は薄くて柔らかく、表面は緑色で無毛または、短毛を散生し、ややシワが目立つ。裏面と葉軸は淡緑色で軟毛が密生し、ときに腺毛が混じる。葉軸には小さい棘がある。葉柄の基部にある托葉は葉柄に合着し、縁はクシの歯状に切れこみ、赤い腺を多数つける。新枝は緑色で、のち褐色を帯びる。托葉の基部に根元が扁平になった鉤形の鋭い棘が対になって生える。 ⑤花期は5~6月。枝先に円錐花序をだし、芳香のある5弁の白い花を多数つける。花の直径は1.8~2.3cmで雄しべは多数。果実はツボ状に肥大した花托の内面に多数の痩果がつく集合果(バラ状果)。直径0.5~0.6cmで、9~11月に赤く熟す。 ⑥類似種:ノイバラの中で棘がないものを選抜した品種として<トゲナシノイバラ>がある。樹勢がよく、棘がない取扱易さから、バラの接ぎ木の台木として広く利用され、日本のバラ苗生産の根底を担う貴重な樹種となっている。 ⑦名前由来:野に生えるイバラという意味。「イバラ」は棘のある木の総称。 ⑧バラの原種:バラは、その香りと薬効が注目されて、古代ペルシャ時代から栽培され、以来、様々な交配が繰り返されて、現在では世界で約4万種の園芸品種があると言われている。これらの交配に使われて原種も約250種あるとされているが、交配などに利用される主な原種は次の9種くらいである。これら原種のうち3分の1にあたる3種(本種と「テリハノイバラ」及び「ハマナス」)が日本に自生する原種であり、「日本は世界有数の原種バラの自生地」とされている。
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葉表 | 葉裏 | |
葉表拡大 | 葉裏拡大 | |
花 | 近影 | |
実 | 全影 | |
全影2 | ||
ガリカバラ(フランスバラ)(花) | コウシンバラ(花) | |
カニナバラ(イヌバラ)(花) | ||