ヒメイタビ(クワ科イチジク属)
①分布等:本州(千葉県以西)、四国、九州、沖縄 の山地に自生するつる性常緑樹。雌雄異株。幹から気根を出して岩や樹木などに張り付いてよじ登る。
②分類:広葉樹(つる性)-単葉-互生-きょ歯なし(図3)
③葉は互生し、葉身は 長さ 2~6cm、幅 1~3cm の卵形楕円形。葉柄は 0.5~1.5cm。葉の先端は鈍く尖り、基部は円形。縁は全縁で裏側に反りかえる。側脈は4~6対で、主脈から50~60°の角度で分岐する。葉脈は表面で凹み、裏面に著しく隆起する幼葉は極端に小形で、葉身の長さは1cm未満、葉縁には数個の大きな波状の深いきょ歯がでるなど、同じ種とは思えないほど形が異なる。
④葉は厚い革質。表面は深緑色でやや光沢があり無毛。裏面は灰緑色で隆起した葉脈が目立ち、脈上に毛がある。葉柄と若い枝は褐色で、同色の開出毛が密生するが、のち、やや無毛となる。枝や葉を折ると白い乳液が出る。
⑤花期は7~8月。雌雄異株。葉腋に花嚢が1個ずつつく。花嚢は直径約1.5cmの球形で、表面に白い毛が散生する。長さ0.2~0.5cmの花柄があり、褐色の軟毛が密生する。果実は複合果(イチジク状果)。果嚢は直径約2cmで球形で、10~11月に灰褐色に熟す。
⑥類似種:「イタビカズラ」や「オオイタビ」に似るが、イタビカズラは葉先が長く伸びて尖ること、裏に毛がないことで区別できる。オオイタビは、葉が大きいことと、側脈の分岐する角度が、30~40°で狭いこと、葉裏や葉柄、若い枝に開出毛がないことで区別する。詳細は「類似種の見分け方」参照
⑦名前の由来:「イタビ」はイヌビワの別称で、果実がイヌビワに似ていて大きいから。「イタビカズラ」より小形であることから「ヒメ」がついた。
葉表 葉裏
葉表拡大 葉裏拡大
幼木の枝 近影
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