①分布等：本州（関東以西）、四国、九州 の山地に生育する落葉小高木。雌雄同株。日本固有種。高さ5～8ｍになる。樹皮は暗灰色～灰白色で、やや平滑。成木では浅く縦に割れる。 ②分類：広葉樹（直立性）-単葉-分裂葉-対生（図10）。 ③葉は対生し、葉身は 直径4～7ｃｍの円形。葉柄は3～5ｃｍで、葉身と同長～1/3。葉縁は、掌状に深く7～11分裂し、切れこみの最深部に隙間ができることが多い。葉の基部は心臓形または切形で、9～11本の掌状脈が出る。裂片は幅が狭く披針形～菱形状狭卵形で、先端が鋭く尖り、縁には欠刻状の重きょ歯がある。 ④葉質は薄く、表面は濃緑色、裏面は緑色で光沢がある。若いときは両面とも軟毛があるが、成長とともに次第に失われ、裏面の脈沿いと脈腋に少しだけ残る。葉柄は無毛。若い枝は緑色または紅紫色で無毛。 ⑤花期は4～5月。雌雄同株。新枝の先に複散房花序をだし、直径約0.5ｃｍの花を10数個下垂する。1つの花序に雄花と両性花が混生する。花弁は5個、淡黄色で紅色を帯びる。果実は翼果。分果は長さ約3cmで翼は斜めに開き、7～9月に淡褐色に熟す。 ⑥類似種：「ハウチワカエデ」、「コハウチワカエデ（別名：イタヤメイゲツ）」、「オオイタヤメイゲツ」に似るが、ハウチワカエデ、コハウチワカエデの葉柄は毛があるが、ヒナウチワカエデの葉柄は無毛である点で区別できる。また、葉柄に毛がない点で似ているオオイタヤメイゲツとは、本種の切れ込みが深く、かつ、切れ込みの最深部に隙間があるに対し、オオイタヤメイゲツは切れ込みがそれほど深くなく、また、切れ込みの最深部に隙間がない点で区別できる。詳細は「類似種の見分け方」参照。 ⑦名前由来：葉の形がハウチワカエデに似ていて小さいことから。 ※本種は、旧分類では「カエデ科」とされていた。

葉表	葉裏
葉表拡大	葉表拡大2
葉裏拡大	枝