コミノネズミモチ(別名:シナイボタ、ノウコウイボタ) (モクセイ科イボタノキ属)
①分布等:各地で植栽。中国、台湾、ベトナム原産の半常緑低木。中国地方では常緑。幹は直立し、分岐し、高さ2~7mになる。樹皮はは灰褐色で平滑、横に長い皮目がある。
②分類:広葉樹(直立性)-単葉-不分裂葉-対生-きょ歯なし-常緑性(図14)。
③葉は対生し、葉身は 長さ 2~7cm、幅 1.5~4cmの楕円形~広卵状楕円形。葉柄は0.2~0.8cm。側脈は5~6対。枝の先端に単葉がなく、一見、偶数羽状複葉のように見えるのが特徴。先端は鈍く尖るか円く、ときに凹み、基部は楔形。縁は全縁。
④葉は薄い革質。表面は濃緑色、裏面は淡黄緑色で、基部付近には数個の腺点がある。両面ともわずかに毛があるか無毛で、のっぺりした質感があり、光にかざしても側脈は透けない。葉柄は短毛が密生し、しばしば紫褐色を帯びる若い枝は淡褐色で短毛が密生する
⑤花期は6月。新枝の先端に円錐花序をだし、白色の小さい花を多数つける。花冠は長さ約0.5cmの筒状ロート形で4中裂し、裂片は平開する。雄しべは2個で花冠から長く突き出し、雌しべは花冠から少し突き出る。葯は小豆色。果実は核果状。直径0.6~0.8cmの球形で、10~12月に黒紫色に熟し、光沢はない
⑥類似種:本種は園芸店で<ヨウシュイボタ(セイヨウイボタ)>や<プリペット>という名前で売られているが、これは間違いである。また、植物に関するホームページで本種を<ヨウシュイボタ(セイヨウイボタ)>としているものが多いが、これは間違った情報であるので注意を要する。<ヨウシュイボタ>の学名は「Ligustrum vulgare」、本種の学名は「Ligustrum sinense」で、全くの別種である。ヨウシュイボタは、本種より葉の幅が狭く、先端は尖っており、雄しべは花冠から突き出さず葯の色は黄色、黒色の果実に光沢があるのが特徴で、簡単に見分けることができる。しかし、一般にはあまり流通していないという。同属の「イボタノキ」、「ミヤマイボタ」、「ヤナギイボタ」に似るが、見分け方は「類似種の見分け方」参照。本種には、葉に白い斑の入った<シルバープリベット>など、多くの園芸品種がある。
⑦名前の由来:小さい実のネズミモチの意。別名の「シナイボタ」は中国原産のイボタの意。
葉表 葉裏
葉表拡大 葉表拡大2
葉裏拡大
花序
若い実 近影
近影2 全影
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