①分布等：本州、四国、九州 の海岸近くの丘陵からブナ帯上部まで生育する常緑針葉高木。雌雄同株。日本固有種。幹は直立し、高さ30～40ｍになる。樹皮は灰色～暗灰色で、鱗片状に浅く剥がれる。 ②分類：針葉樹-針状・線状・広線状葉-互生-左右2列に葉が着く-葉先が凹むか２裂する（図36）。 　　　　針葉樹-針状・線状・広線状葉-互生-螺旋状かかまぼこ型に付く-葉先が凹むか２裂する（図38） ③葉は互生し、葉身は 長さ 2～3ｃｍ、幅 0.2～0.3ｃｍ扁平な線形。上部の枝や光が充分当る枝では螺旋状につき（図３8）、若い樹や光が充分当らない枝では2列に並んでつく（図３６）。 ④葉は硬く、表面は濃緑色で、先端が２裂して鋭く尖り、触ると痛い。老木の枝は先端はわずかに凹む程度。裏面は淡緑色で、2本の白い気孔帯が目立つ。葉の基部は枝につくところが吸盤状に盛り上がる（モミ属の特徴）。若い枝は灰褐色で濃褐色の短毛が密生する。枝は対生する。 ⑤花期は5月。雌雄同株。雄球花は緑黄色の卵状楕円形で前年枝の葉腋につき、雌球花は淡緑色の広卵形で、前年枝の枝上に直立してつく。種子は球果に包まれる。球果は、長さ10～15ｃｍ、直径3～5ｃｍの円柱形で、10月に灰緑色～灰褐緑色に熟す。 ⑥類似種：「ウラジロモミ」に似るが、ウラジロモミは若い枝に毛が無く、枝に深い溝が目立つ点で区別する。また、「ツガ」とも似るが、ツガは葉のつく枝の部分が持ち上がって（葉枕という）おり、葉はこの葉枕に葉柄がつくこと、葉が短く、同じ枝でも葉の長さの長短の差が激しい点で区別できる。詳細は「類似種の見分け方」参照。 ⑦名前由来：不明。万葉集のオミノキ（臣木]）から転じてとか、風にもみ合うからとか、などの説がある。

葉表	葉裏
葉表拡大	葉裏拡大
老木の葉表拡大	枝
螺旋状の葉	若い球果
近影	近影２
近影３	幹