①分布：本州（関東南部以西）、四国、九州 の低山地に自生するつる性落葉樹。日本固有種。 ②分類：広葉樹（つる性）-複葉（図1） ③葉は長さ10～25ｃｍの１回奇数羽状複葉で互生する。つるの巻き方は右巻き。（巻きつかれた樹を右手で持って親指の方向に巻く）。 小葉は4～8対。小葉の葉身は 長さ2～6ｃｍ、幅1～2ｃｍの卵形～狭卵形。小葉の先端は急に狭まって尾状に突出するが尖らず、基部は円形。葉縁は全縁でやや強く波打つ。托葉は針形で宿存する。 ④小葉の質は薄く、表面は緑色、裏面は淡緑色で、両面とも無毛。若い枝は褐色または赤褐色ではじめ毛があるがのち無毛。皮目が多い。 ⑤花期は7～8月。新枝の脇から10～30ｃｍの細長い総状花序を下垂し、長さ1.3～1.5ｃｍの淡黄白色の蝶形花を多数つける。花は上（基部）から下へと順次に咲く。果実は豆果。長さ10～15ｃｍ、幅0.8～1ｃｍの扁平な長楕円形で、10～11月に褐色に熟し、2裂して種子を放出する。 ⑥類似種：よく似ているフジ・ヤマフジとの区別点は次のとおりでる。 　＊つるの巻き上がる方向が、フジと本種の右巻きに対しヤマフジは左巻きである。 　＊小葉の数が、フジの５～９対に対し本種は４～8対と少ない。 　＊夏を過ぎたころの裏面は、フジと本種がほぼ無毛であるに対し、ヤマフジは毛が多く白っぽく見える。 　＊本種は、托葉が宿存するが、フジ・ヤマフジは早く落ちる。 　　詳細は「類似種の見分け方」参照。 ⑦名前の由来：「夏藤」の意で、フジに似ていいて、夏に花が咲くから。別名の「ドヨウフジ」は「土用藤」の意で同様の由来。 ※本種は、旧分類では「ナツフジ属」とされていた。

小葉表	小葉裏
小葉裏拡大	枝と托葉
花序