ニッケイ(クスノキ科クスノキ属)
①分布等:九州(徳之島)、沖縄 の山地に稀に自生する常緑高木。西日本各地に植栽され、照葉樹林内に稀に野生化している。幹は直立し、高さ10~15mになる。樹皮は暗灰色で平滑。
②分類:広葉樹(直立性)-単葉-不分裂葉-互生-きょ歯なし-下面に毛がある-常緑性(図20)。
③葉は互生であるが、対生のものも混じる。葉身は 長さ 8~15cm、幅 2.5~5cmの卵状長楕円形~長楕円形。葉柄は1.3~2cm。全縁で、先端は細長く伸びて尖り、基部は楔形で葉柄に流れる。3行脈が目立ち、2本の側脈は葉の先端近くまで伸びる
④葉は革質で、表面は濃緑色で光沢があり無毛、裏面は灰緑色で全体に微毛がある若い枝は帯緑黄色で、稜があり、はじめ灰白色の伏毛が散生するが、のち無毛。葉をちぎるとニッケイの匂いが強く、食べてみるとニッケイの味がする
⑤花期は5~6月。新葉の上部の葉腋から長い柄のある集散花序をだし、淡黄緑色の小さい花をつける。花弁と萼片は各6個。果実は液果。長さ約1cmの楕円形で、11~12月に黒紫色に熟す。果床は深い杯形。
⑥類似種:3行脈の特徴を持つものは、葉の大きさ順に、シロダモ、ニッケイ、ヤブニッケイ、クスノキがあり、次の特徴で見分ける。
シロダモは、葉が枝先に集まってつき放射状につき(若葉の時は垂れ下がる)、葉裏が粉を吹いたように白く、黄褐色の絹毛でおおわれること。
ニッケイは、3行脈の2本の側脈が、主脈と並行して伸びて、葉の先端近くまで達し、葉の裏面全体に微毛があり、葉をもむとニッケイの匂いがする。
ヤブニッケイは、3行脈の2本の側脈が主脈と並行せず角度をもって伸びて、葉の肩あたりで消え、葉の裏面は無毛、葉をもんでもニッケイの匂いはしない。また、葉が規則正しくほぼ等間隔でついている。
クスノキは、3行脈の分かれ目にダニ部屋があり、葉は薄い革質で、ちぎると樟脳の匂いがする。
詳細は「類似種の見分け方」参照。
マルバニッケイ(コウチニッケイ)>は、九州(福岡、鹿児島県)と沖縄 の海岸の岩場や砂地に自生する常緑小高木で、葉の先端が鈍く尖るか円い。<シバニッケイ>は、奄美・琉球諸島に自生する常緑小高木で、葉の先端がマルバニッケイよりやや尖り、5~6月に淡黄緑色の花を開く。
⑦名前の由来:ニッケイは「肉桂」であり、元々は、根から採取したものが肉桂であり、その呼び方が転じて樹木そのものをニッケイと呼ぶようになったとされる。
⑧根や樹皮にはニッケイ独特の香りと辛味があり、菓子の香料や健胃剤などとして利用される。
葉表 葉裏
葉裏拡大 花序
近影 近影2
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