タニワタリノキ(アカネ科タニワタリ属)
①分布等:九州(南部)に自生する常緑低木。高さ2~5mになる。
②分類:広葉樹(直立性)-単葉-不分裂葉-対生-きょ歯なし-常緑性(図14)。
③葉は対生し、葉身は 長さ 5~11cm、幅 1.5~3cmの倒披針形~長楕円形。葉柄は0.3~0.6cm。側脈は8~9対。全縁で、先端は尾状につき出して尖り、基部は楔形。側脈は広い角度ででて、表面で凹み裏面に隆起する。
④質はあまり厚くない洋紙質。表面は濃緑色、裏面は灰緑色で、両面とも無毛。若い枝は緑色で、はじめ微毛があるが、のち無毛、古い枝は灰黒色となり縦に筋ができる。托葉は0.3~0.6cmの披針形で、先端は尖り、基部は向かいの托葉と基部で合着する 。早落性で、落ちると線が残る。
⑤花期は8~9月。上部の枝から長さ2.5~4.5cmの長い柄を伸ばし、直径約1.5cmの球形の頭状花序をつける。花柄は微毛を密生し、中ほどに1対の苞がある。花冠は淡黄色、長さ約0.5cmの筒形ロート状で先端は5裂し平開する。雄しべは4~5個あり、極めて短く、花筒の上部につく。花柱は長さ約0.7cmのこん棒状で花冠から長く突き出る。果実は蒴果が集まった球状の複合果。蒴果は、長さ約0.25cmの狭倒卵形で、10~12月に熟す。
⑥類似種:<ヘツカニガキ(ハニガキ)>は、ヘツカニガキ属であり、属は異なるが、直径約1.5cmの球形の頭状花序を出す点でそっくりである。見分け方は、①本種は頭状花所を1個つけるに対し、ヘツカニガキは総状に3~10個つけること、②本種の托葉は基部のみで合着するが、ヘツカニガキは先端まで合着す津こと、③本種の葉は倒披針形~長楕円形であるが、ヘツカニガキは卵形~楕円形で幅が3~10cmと広いこと。「タマガサノキ(アメリカタニワタリノキ)」は、ヤマタマガサ属であり、属は異なるが、直径約1.5cmの球形の頭状花序を出す点で同様にそっくりである。本種との見分け方は、筒形ロート状の先端が本種は5裂するに対し、4裂すること。
⑦名前の由来:本種が谷間に多く生えることから。
葉表 葉裏
葉表拡大 葉表拡大2
葉裏拡大
托葉(上からみたもの) 近影
全影
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