①分布等：北海道、本州、四国、九州 の山地に自生するつる性の落葉樹。幹や枝から気根を出して他物に絡んで這い登り、長さ15～20ｍにもなる。樹皮は褐色で、縦に薄く剥げる。 ②分類：広葉樹（つる性）-単葉-対生（図2）。 ③葉は対生。葉の大きさ、形は変異が大きい。樹上の枝では、葉身は 長さ 5～12ｃｍ、幅 3～10cm のほぼ卵形で、葉柄は長く3～9ｃｍ。先端は急に狭まってつまみ状に尖り、基部は広い楔形か浅い心臓形。葉縁には、片側だけで30個以上の不揃いで三角状の細かいきょ歯がある。林内を這う枝の葉は、小さく、長さ約2ｃｍの円形。 ④質は洋紙質で、表面は緑色で葉脈上と葉柄の上面に疎毛があり、裏面は淡白緑色で葉脈上と脈腋に毛がある。枝は褐色～赤味を帯びた褐色でちじれた毛がある。 ⑤花期は6～7月。枝先に直径10～18ｃｍの花序をだし、3～7個の白色の装飾花とそれに囲まれた両性花をつける。装飾花は、直径2～４.５㎝で、萼片は3～4個。果実は蒴果。直径約0.35ｃｍの球形で、9～10月に淡褐色に熟す。 ⑥類似種：「イワガラミ」に似るが、以下により区別する。 (1)イワガラミのきょ歯は大きくて不規則な形できょ歯の数は20対以下であるに対し、本種のきょ歯は小さく整っており、きょ歯の数が30対以上あること。 (2)イワガラミの葉は先端まではきょ歯が出ないが、本種の葉はきょ歯が葉の先端まであること。 (3)装飾花の萼片が、イワガラミは1個であるに対し、本種は3～4個あること。 (4)イワガラミは葉を揉むと青臭い匂いがするが、本種は匂わないこと。 ⑦名前の由来：「つる性のアジサイ」の意。別名の「ツルデマリ」は、つる性の木で花が手まりに似ていることから。「ゴトウヅル」は不明。祖谷のかずら橋のつるは本種である。 ※本種は、旧分類では「ユキノシタ科アジサイ属」とされていた。

葉表	葉裏
葉表拡大	葉表拡大２
葉裏拡大	枝
花序	花序２
若い実	近影
近影２	全影
全影