ボダイジュ(アオイ科シナノキ属)
①分布等:日本各地で植栽。中国大陸中部原産の落葉高木。幹は直立し、分岐し、高さ128~20mになる。寺院等に植栽されることが多い。樹皮は暗灰色~帯紫灰色で、縦に裂ける。
②分類:広葉樹(直立性)-単葉-不分裂葉-互生-きょ歯あり-単きょ歯-側脈は葉縁に達する-落葉性(図29)。
③葉は互生し、葉身は 長さ 5~10cm、幅 4~8cmのゆがんだ円形。葉柄は2~4cm。側脈は8~10対。葉先は急に狭くなって鋭く尖り、基部は左右やや不対称な切形または心臓形。基部から3~5本の掌状脈が伸びる。縁には鋭いきょ歯がある。側脈は葉縁に達してきょ歯に入る。
④葉の表面は濃緑色で無毛。裏面は灰黄緑色で、葉柄とともに灰黄白色の星状毛が密生し、脈腋に毛の塊はない。若い枝は灰白色の星状毛が密生し、ジグザグに曲がる
⑤⑪花期は6~7月。当年枝の葉腋から長さ8~10cmの集散花序を下垂し、淡黄色の5弁花を下向きに多数つける。狭い舌の形をした長さ5~8cmの総苞葉があのが特徴で、その柄は0.2~0.6cmと短い。花は直径約1cmで、花弁、萼片が各5個、雄しべは多数あり、花弁より短短い。果実は堅果。直径0.7~0.8cmの球形で、淡褐色の毛を密生し、総苞葉を残して9~10月に熟す。果実には5個の隆起条がある。
⑥類似種:「シナノキ」に似るが、シナノキは掌状脈が5~7本であるに対し、本種は3~5本であること、葉柄が、シナノキは無毛であるに対し、本種は星状毛が密生していることなどで区別できる。詳細は「類似種の見分け方」参照。
 *釈迦が修行したのはインドのアシュヴァッタ樹の下であり、釈迦が悟りを開いたことから、「正しい悟りの智の木」を意味するボーディ・ドルマ(bodhi-druma=菩提樹)と呼ばれるようになり、和名では「
インドボダイジュ(テンジクボダイジュ)」という。本種と異なり、クワ科テンジクボダイジュ属の半落葉高木で、インド、スリランカ原産。
 *シューベルトの「菩提樹」は<ナツボダイジュセイヨウボダイジュ)>。本種と同属で、同じヨーロッパ、コーカサス地方、小アジア原産で、ヨーロッパに広く分布する。
 *数珠を作るのは<ジュズボダイジュ>。本種と異なり、ホルトノキ科ホルトノキ属の落葉高木で、インド、東南アジア原産。
 *<フユボダイジュ>は、本種と同属の落葉高木で、ヨーロッパから中央アジアのコーカサス地方に分布しており、葉身の長さが2~8cmと小さいのが特徴。
⑦名前の由来:日本のボダイジュは「菩提樹」の意で、この上記の本当の菩提樹ではないが、熱帯植物であるインドボダイジュは、中国では育たないため、葉が似ていることから「菩提樹」と命名されたとされ、インドボダイジュの代わりに、中国やわが国で、仏教寺院などに植えられている。
本種は、旧分類では「シナノキ科」とされていた
葉表 葉裏
葉表拡大 葉裏拡大
花序(総苞葉の柄は短い) 花(雄しべは花弁より短い)
果序 実(星状毛が密生、5個の隆起条がある)
近影 全影
インドボダイジュの葉  
 
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